大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪高等裁判所 平成4年(ラ)393号 決定 1992年11月30日

主文

本件抗告を棄却する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理由

一  本件抗告の趣旨は、「原決定を取り消す。相手方らの更正決定の申立てを却下する。」というにあり、その理由の要旨は、「原決定は、民事訴訟法一九四条により判決を更正できる範囲を超えて、判決の結論を変更してしまうものである。本件判決(基本事件に対する昭和五九年九月二八日言渡の判決)添付の別紙図面表示のe点、c点は、西側安春が測定した角度に基づいて特定され、同図面のとおりに本件判決が確定したのであるから、西側安春作成の図面に基づいて、右測量値が誤りであつてe点等の特定を誤つたとして更正を認めるのは不当である。」というのである。

二  当裁判所の判断

1  当裁判所も、相手方らの本件更正決定の申立ては理由があると判断するものであるが、その理由は原決定の理由説示のとおりであるから、これを引用する。

2  抗告人は、西側安春が作成したe点、c点の測量値が誤つているとする図面に基づいて、e点等の特定を誤つたとして更正を認めたのは不当である旨主張する。しかしながら、判決確定後に提出された資料を加えることによつて、確定判決に明白な誤謬があることが判明した場合にも更正決定をなしうると解するのが相当である。記録に基づいて本件判決の記載内容を検討すると、本件判決が添付した別紙図面表示のe点を「c点からほぼ南東に二二・七六五メートルの地点でf点からほぼ北西に一・三三一メートルの地点」とする意思で表示されたことは同図面の表示自体から明らかであるし、また、本件判決が同図面表示のf点を「相手方田中方表側の居宅部分の屋根の南西端を通る垂線が地面と交わる地点」とする意思で表示されたこともその理由説示から明らかである。そうすると、本件判決中、a、c、e、fの各点等として示された同図面自体には変更はなく、ただ同図面中のc点、e点の表示部分及び同判決末尾の「別紙図面に表示の各点の説明」のうち、e点、f点の説明部分のc点、e点における外角度の各記載に誤りがあつたにすぎないと認められる。したがつて、原決定は、本件判決の明白な誤謬を訂正して更正したにすぎず、抗告人主張のように確定判決の実質的な内容を変更するものではないから、抗告人の主張は採用できない。

3  よつて、相手方らの本件更正決定の申立てを認容した原決定は相当であつて、本件抗告は理由がないので、これを棄却することとし、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 吉田秀文 裁判官 弘重一明 裁判官 岩田 真)

《当事者》

抗告人 丸山 忠

相手方 高橋 渡 <ほか二名>

右三名代理人弁護士 清木尚芳 同 松本 岳 同 三浦州夫

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例